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企画展
アール・ブリュット-パリ、abcdコレクションより- 生命(いのち)のアートだ
会期 2008年10月25日~2008年11月30日
開催概要
「加工されていない、生のままの芸術」を意味する「アール・ブリュット」という概念は、フランスの美術家ジャン・デュビュッフェ(1901-1985)が1945年に提唱したものです。当時のフランス美術界のアカデミズム化に反発したデュビュッフェは、精神障害者や幻視者をはじめとする正規の美術教育を受けていない人々が内発的な衝動の赴くままに制作した作品を高く評価し、既成の美術概念に毒されていない表現にこそむしろ真の芸術性が宿っていると主張しました。
このたび滋賀県立近代美術館では、デュビュッフェの母国フランスの非営利財団abcd(art brut connaissance & diffusion=アール・ブリュット:理解と普及)の所蔵品により、「アール・ブリュット」の代表的な約60作家、約130点による展覧会を開催します。abcdの活動の三本柱である、(1)コレクション、(2)ドキュメンタリー映画の制作、(3)多角的な研究 を通じて「アール・ブリュット」が投げかける様々な問いに光をあてることを試みるものです。
また関連事業では多彩な講師を招き、広範な見地から「生命」と「表現」の問題を考える連続講演会を行います。本展がわが国における「アール・ブリュット」のさらなる理解と普及に寄与するとともに、「生命」により直結した「表現」のあり方について再考する機会となれば幸いです。
abcdについて
abcd(art brut connaissance & diffusion=アール・ブリュット:理解と普及)は、ブリュノ・ドシャルム(コレクターであり、アール・ブリュット作家のドキュメンタリー映画の監督でもある)と、アール・ブリュットに共感する人々との出会いによって1999年に設立されました。その後、作家、精神分析医、心理学者、美術史家、哲学者、さらには熱意あるアマチュアたちによる研究グループが形成され、研究の成果は数々の出版物、展覧会、映像などに反映されています。また、ドシャルムはアール・ブリュットをめぐる他国の状況にも関心があり、2003年にはテレジエ・ゼマーンコヴァーの主宰のもとにabcdプラハ支部が開設されました。1980年代から集められたabcdのコレクションは、選択眼の厳しさに基づく質の高さにより確固たる権威を築いてきましたが、その中には、19世紀半ばから今日に至る主要な作家(約200名)による2,000点を越える作品が含まれています。
- 出品作家
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アロイーズ、ヘンリー・ダーガー、ヤンコ・ドムシッチ、マッジ・ギル、ズデニェク・コシェック、オーギュスタン・ルサージュ、マルティン・ラミレス、アドルフ・ヴェルフリほかアール・ブリュットの代表的な約60作家による約130点を予定
(日本作家は戸次(べっき)公明、河合由美子、松本国三、齋藤裕一、坂上チユキ、坂元郁代、寺尾勝広の7名
- 関連情報
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ボーダレス・アートミュージアムNO-MA(滋賀県近江八幡市)において今年アール・ブリュット・コレクション(スイス、ローザンヌ)との交流プロジェクト“アール・ブリュット/交差する魂”が開催された。滋賀県から全国にむけてアール・ブリュットに接する機会を発信すべく、ふたつの展覧会は広報面などでも連携をはかっている
- 関連行事
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○秋の美術館講座「生命のアートだ」
1. 「abcdとは」
日時:平成20年10月26日(日)
講師:ブリュノ・ドシャルム(映像作家、abcd創立者)、バルバラ・シャファージョヴァー(abcd代表)
2. 「アール・ブリュットと日本」
日時:平成20年11月2日(日)
講師:服部正(兵庫県立美術館学芸員)
3. 「『心霊』は芸術を深めたか?-フランス19世紀の『心霊』ブームと「無意識」概念
日時:平成20年11月3日(月・祝)
講師:稲垣直樹(京都大学大学院人間・環境学研究科教授)
4. 「身体は繰り返す 美の術と身体の術」
日時:平成20年11月9日(日)
講師:細馬宏通(滋賀県立大学人間文化学部准教授)
5. 「滋賀県における知的障害児の造形活動の展開」
日時:平成20年11月16日(日)
講師:吉永太市(もと一麦寮寮長)
6. 「“アール・ブリュット/交差する魂”展からみえてきたもの」
日時: 平成20年11月23日(日)
講師:はたよしこ(絵本作家、ボーダレス・アートミュージアムNO-MAアートディレクター)
7. 「医療現場におけるアートの可能性-ホスピタル・アートを通して」
日時: 平成20年11月24日(月・祝)
講師:森口ゆたか(美術作家、NPO法人アーツプロジェクト代表)
8. 「アヴァンギャルドと子どもの絵」
日時:平成20年11月30日(日)
講師:山本淳夫(本館主任学芸員)
いずれも午後2時から。会場は当館講堂、聴講無料
定員:200名(先着、午後1時より本館エントランスにて整理券発行 開場は1時30分)
○映画上映会「非現実の王国で ヘンリー・ダーガーの謎」 滋賀県立近代美術館友の会協賛事業
日時:平成20年11月1日(土) 午後1時~ 午後3時~ (上映時間:約80分)
会場:本館講堂(参加無料)
定員:150名(先着、それぞれ上映60分前より本館エントランスにて整理券発行 開場はそれぞれ上映30分前)
○鑑賞ワークショップ「見て、聞いて、話して、もう一度見てみたら」
日時:平成20年11月8日(土)、11月22日(土) いずれも午後2時~
ナビゲーター:山下里加(アートジャーナリスト、京都造形芸術大学講師)
定員:各20名
○たいけんびじゅつかん「わたしが世界の主人公。」
内容:大きな紙にいろいろくっつけて、自分の世界をかざる額縁をつくってみよう。
日時:平成20年11月15日(土) 午後1時~4時
対象:小中学校全学年とその保護者
定員:10~15家族
○美術館サポーターによるギャラリートーク
日時:平成20年10月25日(土)~11月30日(日) の毎日午後1時~
- 主催
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滋賀県立近代美術館
- 共同企画
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abcd (art brut connaissance & diffusion)
- 後援
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フランス大使館、滋賀県教育委員会、NHK大津放送局、びわ湖放送株式会社
- 協賛
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株式会社資生堂、パナソニック株式会社、ロイヤルオークホテルスパ&ガーデンズ
- 助成
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アサヒビール芸術文化財団
- 協力
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日本航空
- その他
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