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企画展
滋賀の現代作家展 星野曉 黒陶 出現する形象
会期 2002年01月12日~2002年02月17日
開催概要
「滋賀の現代作家展」は、地元滋賀県ゆかりの優れた現代作家を、日本画、洋画、工芸、現代美術、写真などの幅広いジャンルの中から毎年選定し、作家と作品の全貌を全国に向けて発信する、当館の独自企画による新しいシリーズ展である。
第1回目の今回は、現在、滋賀県滋賀郡志賀町に在住の現代造形作家、星野曉(l945- )を取り上げ、彼の約30年にわたる活動の軌跡を紹介する回顧展を開催した。
1945年新潟県に生まれた星野曉は、1971年に立命館大学を卒業後、1974年から1980年にかけて、京都在住の陶芸家八木一夫らによって結成された前衛的な陶芸家のグループ「走泥社」の同人となり、以降、伝統的な陶芸の形式を破り、実用的な機能を持たない造形的なオブジェ作品を精力的に発表し、今日、日本の現代陶芸を代表する実力派の一人として国内外で高く評価されている。
1978年から「表層・深層」と題された黒陶による作品の制作を開始した星野は、一貫して土と身体との関わりを重視した触感的な黒陶作品を制作している作家としてよく知られている。 この「表層・深層」シリーズは、作品の表面とその内部構造を明らかにしようとするもので、その後の彼の作品の原点となる。また1983年からは「Temporary Style(仮の姿)」シリーズを手掛け、金網や土を組み合わせた構造体を空間全体に配置し、インスタレーション的な傾向が芽生える。さらに1989年には「Appeared Figure(出現する形象)」シリーズに至り、板状の黒陶から鳥や人体を連想させる像が立ち現れてくる作品を発表する。このシリーズで星野は、道具類は一切用いず、作家自身の指や手のひらといった身体的な痕跡のみを土に刻印し、焼き上げ、形作るという現在の作品のスタイルを確立する。また近年では、具体的なイメージは消え、指跡などが印された黒陶の断片を壁一面に配した大作を展開している。
今回の展覧会は、近年の大型作品を中心に、初期の代表作から、初公開の新作まで約45点の作品によって構成され、国内では初めての大規模な星野曉の回顧展となった。
- 会場
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企画展示室1・2およびエントランス・ロビー
- 関連行事
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○講演会 「土と身体のはざま」
平成14年1月20日(日) 於:講堂
講師:星野曉(造形作家・大阪産業大学教授)
○パフォーマンス 「泥の中から立ち上がるかたち」
平成14年1月27日(日) 於:講堂
出演:星野曉
○日曜美術鑑賞会
平成14年2月3日(日) 於:講堂
講師:尾﨑佐智子(当館学芸員)
- 図録
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285mm×225mm、96ページ(カラー作品図版44点、モノクロ作品図版34点)
編集・発行:滋賀県立近代美術館
内容:○星野曉メッセージ
○論文:「星野作品と制作環境の関わり」 桑山俊道、
「星野曉の《Appeared Figure》(出現する形象)シリーズにおける『身体性』について」 尾﨑佐智子
○星野曉へのインタビュー ○略歴/展覧会歴 ○主要参考文献 ○出品リスト
- 新聞関連記事
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京都新聞 平成14年1月19日(朝刊) 「ひと TODAY」 太田垣實
朝日新聞 平成14年1月28日(朝刊) 「泥だらけでポーズ 現代陶芸作家星野さん 迫真の動き披露」
毎日新聞 平成14年2月1日(夕刊)
「美術 視覚性と触覚性持つ陶芸 力強い個展、星野曉と柳原睦夫」 田原由紀雄
京都新聞 平成14年2月2日(朝刊) 「美メール」
新美術新聞 平成14年3月1日 「フォトニュース 星野曉の前衛性、京都の伝統」 油井一人
- 雑誌関連記事
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陶説 平成14年3月号(月刊) 「関西の陶芸展 星野曉展」 藤慶之
てんぴょう 2002年011号(季刊) 「星野曉 求心と遠心のはざまで」 天野一夫
「星野曉 土との一体化を伝える手指の無数の刻印」 太田垣實
- 主催
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滋賀県立近代美術館