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企画展
ドナルド・ジャッド 1960-1991
会期 1999年05月22日~1999年07月11日
開催概要
20世紀を代表する芸術家のひとりであるドナルド・ジャッド(1928-1994)は、1950年代に画家としての活動を始め、50年代末から美術批評を執筆するようになる。
ジャッドが初期に制作した作品は、湾曲する線が画面に描かれた「ライン・ペインティング」と称される絵画群で、これらの作品において、ジャッドは「イリュージョン」を排除することを目標とした。しかし二次元の絵画作品では、完全に払拭できないことからレリーフ状の作品を経て、三次元の立体作品へと移行し、1960年代の中頃には、「スタック(=積み重ね)」や「プログレッション(=数列)」と呼ばれる、壁に同型の立体を反復して貼り付けた独自のスタイルに到達した。
こうした一連の作品は、金属やプレキシグラスなどの工業素材を用いて制作され、また物語やメッセージを有していないこと、単純な幾何学的形態を採用し、芸術家の手作業を全く感じさせないことなどから、1960年代の最も重要な美術動向であるミニマル・アートの代表的な作例と見なされるようになった。しかしジャッドの芸術はミニマル・アートという過去の動向で括られるものではなく、芸術作品としてそれを鑑賞する人間の知覚の働きについて、本質的な問題を提起している。
本展は、ドナルド・ジャッド・エステイトおよびジャッド財団の協力を得て実現したもので、世界的に見ても、これまではとんど紹介される機会のなかった1960年制作の「ライン・ペインティング」を含む初期の作品から、1991年制作の5点組の大型作品までを含む22点の作品によって、ジャッドのめざした世界を体験できる展示空間を創出した。なお本展は、埼玉県立近代美術館に巡回した。
- 会場
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企画展示室1・2
- 観覧者数
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8,156人 (一日平均 185人、一日最高 680人)
- 関連行事
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○講演会 「ドナルド・ジャッドの作品の諸相」
平成11年5月23日(日) 於:講堂
講師:マリアナ・ストックプラント(チナティ財団ディレクター)
○コンサート アメリカン・ミニマル・ミュージック・コンサート
平成11年6月27日(日) 於:講堂
主催:京都国際現代音楽フォーラム・滋賀県立近代美術館
助成:財団法人 ローム・ミュージック・ファンデーション
企画:藤島寛(京都国際現代音楽フォーラム・ディレクター)
演奏:藤島啓子 他
- 図録(共通版)
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265×209mm、223ページ(カラー作品図版80点、モノクロ作品図版92点)
編集・発行:埼玉県立近代美術館・滋賀県立近代美術館
内容:○論文:「経験の純粋化一ドナルド・ジャッドの芸術について」梅津元、
「作品の住処-ドナルド・ジャッドのインスタレーションについて」尾﨑佐智子、
「チナティ・ファウンデーションのためのステイトメント」 ドナルド・ジャッド、
「チナティ・ファウンデーション-ドナルド・ジャッドの作った美術館」マリアナ・ストックプラント、
「ドナルド・ジャッドヘのインタビュー」ジョン・コプラン
○ドナルド・ジャッド著作集抄訳
○年表(経歴/作品の展開/ジャッドの著作/ジャッドについての文献)
○出品リスト
- 新聞関連記事
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日本経済新聞 平成11年6月1日(夕刊) 展評 加藤義夫
毎日新聞 平成11年6月18日(夕刊)「姿消した“異様な攻撃性”ミニマリズムのD.ジャッド」古山正雄
京都新聞 平成11年6月19日(朝刊)「ドナルド・ジャッドの究極のライフ・スタイル」 尾﨑佐智子
朝日新聞 平成11年6月25日(朝刊) 展評 大西若人
産経新聞 平成11年6月27日(朝刊) 展評 早瀬廣美
読売新聞 平成11年6月29日(夕刊) 展評 安黒正流
京都新聞 平成11年8月9日(夕刊)「現代のことば 美術展が面白い」 池水慶一
- 主催
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滋賀県立近代美術館
- 企画協力
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ドナルド・ジャッド・エステイト、ジャッド財団
- 協力
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日本航空、名港海運