本年(2021)10月14日に、視覚障害のある方が付き添いの方とともに当館にいらした際、当館スタッフが、御本人に対してお声がけしない、自分が誰かを名乗らない、そして、当日の当方の体制のなかでどのような対応ができるかを積極的に話し合う姿勢ではなかったなど、合理的配慮に基づく適切な対応ができなかったため、入館されずにお帰りになるという事案がありました。
せっかく美術館までお越しいただいたにもかかわらず、そのような判断をせざるをえなかった運営状況であったことについて、この場を借りてお詫び申し上げます。
当館は本年6月にリニューアルオープンするにあたり、館の方針(ミッション)として、ユニバーサルの理念のもとに一人ひとりの学びに貢献するプログラムの実施や、多様な利用者や県民への美術館機能の提供と満足度の向上、そして、共生社会の実現への貢献を掲げました。しかし、本事案が示すように、その方針を実現するための努力が足りていませんでした。そこで、今回の事案を踏まえて、以下のタスクを明確に定めましたことをご報告いたします。
これらのタスクを着実に実現していけるよう、今後、障害のある当事者や支援者の方々をはじめとする皆様と館のスタッフ(委託業務先を含む)との意見交換の場を持ち、そこでの議論を反映させることで、より多くの皆様に心地よく御利用いただける美術館を作り上げてまいる所存です。
<より多くの皆様に御利用いただける美術館を実現するための今後のタスク>
1 より多くの皆様に心地よく美術館をご利用いただけるように、そして、障害のある方をはじめとする一人一人のお客様に応じた適切な人的サポートができるように、全てのスタッフ(委託業務先を含む)を対象にして、合理的配慮や積極的な対応を習得するための研修を、毎年継続的に行います。
2 より多くの皆様に美術作品や美術館の魅力に出会っていただけるよう、開催する展覧会やイベントの内容に応じて、触れる作品やレプリカの展示、作品解説の拡大文字やテキストデータでの提供、字幕あるいはバリアフリー字幕の作成、手話通訳の導入、様々なワークショップの実践、鑑賞ガイドを行うボランティアの育成などを、順次充実させていきます。
3 美術館にお越しいただく前に必要とされる情報を的確に届けられるように、美術館のホームページにおいて、施設のバリアフリー情報や、展覧会やイベントごとの対応状況を掲載します。
なお、施設のバリアフリー情報については10月29日に追加記載しましたが、今後も随時情報を更新していきます。
※12月23日 今後のタスク 3 の項目にホームページの追加記載について追記しました