滋賀県立美術館は、自然豊かなびわこ文化公園のなかに立地しています。周りには、滋賀県立図書館や滋賀県埋蔵文化財センター、茶室「夕照庵」などの文化施設とともに、日本庭園(設計:伊藤邦衛)や子どもたちに大人気な「わんぱく原っぱ」、自然が残るビオトープなどが広がっています。
2021年のリニューアルに際して、当館のディレクター(館長)である保坂健二朗は、目指すべき美術館の姿を「公園のなかのリビングルーム」「リビングルームのような美術館」としました。公園の中のくつろぎの場として、また様々なアートに出会うことのできる「つねにフレッシュ」な美術館を目指しています。
公園の緑の中にたたずむ美術館のイメージを、写真家 高野ユリカの写真でご紹介します。
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公園のなかの美術館
公園の中のくつろぎの場へ
1984年に開館した滋賀県立近代美術館(当時)の設計者は、株式会社日建設計。その中心となった担当者は、大阪事務所の小角亨でした。建築の特徴である大きな三角屋根は、美術館のロゴのインスピレーション源にもなりました。外壁には信楽焼のタイルが使われています。
開館から30年以上が経過した2021年に、滋賀県立美術館と名称も新たにリニューアルした際には、展示室や設備等を、現在の美術館に求められる水準に更新する等の老朽化対策と、キッズスペースやラボ等の整備を行う等の改修工事を実施しました。このうち、エントランスまわりのウェルカムゾーンと呼ばれるエリアを中心に、デザイン統括、内装設計を行ったのが、大阪に拠点を置くgrafです。VIやサイン計画はUMA/design farmが担当。また、照明やベンチ、カフェやショップのタイル、 案内サインには、滋賀県の信楽を拠点にするNOTA & designが製作した信楽焼が使用されています。
お子さんと一緒に本を読んだり休憩したりできるキッズルームや授乳室を完備したファミリールーム、一息つけるカフェなど、過ごしやすい空間になっています。
点在する彫刻作品
ガラス張りの回廊が囲む「コールダーの庭」や北側の「彫刻の庭」には、アレクサンダー・コールダー、ドナルド・ジャッド、ケネス・スネルソン、速水史朗、井上裕加里の作品5点が展示されています。また、美術館の西側にある「彫刻の路」では、公園内を散歩しながら、山口牧生、村岡三郎、植松奎二の作品3点を見ることができます。
- 山口牧生《夏至のランドマーク》
- 植松奎二《置・傾/トライアングル》
高野ユリカ | Kono Yurika
写真家。新潟生まれ。
ホンマタカシ氏に師事、2019年独立。
土地や歴史、建築や空間、個人の物語のリサーチから着想し、歴史(history / his-story) に応答する her-story をテーマに作品を制作している。
建築、空間、環境、セノグラフィーの分野を中心に活動中。