開催日時 2025年3月23日(日)14時~16時半
開催場所 滋賀県立美術館 木のホール
定 員 30名程度
第一部 ゲストスピーカーによる話題提供(45分)
第二部 ワールドカフェ形式による対話(75分)
フリーワードで検索
よく検索されるページ
県美と一緒に◯◯したい! 滋賀県立美術館のこれからを考えるワークショップ 開催レポート
企画概要
主催 滋賀県立美術館
企画 特定非営利活動法人BRAH=art.
運営 株式会社ホモ・サピエンス
目的
県立美術館は、令和6年3月に「滋賀県立美術館魅力向上ビジョン」を策定し、今後の方向性として、子どもたちがアートに親しむことのできる環境の整備や社会的処方の取組等を通したウェルビーイングの向上などを掲げています。そして、現在、このビジョンで掲げた方向性を実現するため、県立美術館の施設整備に係る具体的な計画である「滋賀県立美術館整備基本計画」の策定に向けた検討を進めています(令和8年3月策定予定)。
そこで、子ども・子育てや福祉といった関連する分野に携わられている方をはじめ、それぞれの地域でアートへの入口となるような活動をされている方、広く美術館に関心のある方などにお集まりいただき、武蔵野美術大学芸術文化学科教授の杉浦幸子氏による基調講演やワールドカフェ形式のワークショップ等を通して、県立美術館の楽しい未来の姿を、皆さんと一緒に考えます。
当日のタイムスケジュール
13:30 開場・受付
14:00 開会
14:05 ディレクター挨拶・話題提供(滋賀県立美術館 ディレクター 保坂健二朗)
14:15 ゲストスピーカーによる話題提供(武蔵野美術大学 教授 杉浦幸子氏)
「子どもとアートの新しい関係ー滋賀県美の未来に向けて」
15:00 休憩
15:15 対話のグランドルール説明
15:20 1ラウンド目
15:40 2ラウンド目
16:00 各班発表・共有
16:30 クロージング
16:35 アンケート回収およびノベルティの配布
実施報告
当日参加者:32名
対話にのぞむ3ステップ
ワークショップ参加者には、あらかじめ「美術館でやってみたいことや、美術館といっしょにやってみたいことはありますか?」という設問に回答していただきました。
今回のイベントタイトルである「県美と一緒に◯◯したい!」の「◯◯」部分について事前に考えてもらうことをワークショップ参加の第一段階と位置づけ、滋賀県立美術館 ディレクター 保坂からの挨拶・話題提供と武蔵野美術大学 杉浦幸子教授の基調講演を第二段階と位置づけました。
まずは自分の立場から個々に滋賀県立美術館を見つめた参加者のみなさんが、第二段階において、滋賀県立美術館が検討している整備基本計画や、子どもとアートに関する海外の事例について知ることにより、第三段階となる対話型ワークショップにおいて、それぞれが当初よりも広い視座で滋賀県立美術館のこれからについて話し合える土壌をつくることができました。
リラックスした雰囲気で話し合う
参加者のみなさんには7グループに分かれていただきました。グルーピングについては、各グループに一名ずつ、ファシリテーターを務めていただけそうな方を配置しました。
また、第一ラウンド後にはファシリテーター以外、全員席を移動していただくように依頼しました。その内、車いすユーザーの参加者2名については、介助者と共に同じグループに残られました。
ワールドカフェ形式ということで、第一ラウンドと第二ラウンドで席の移動を行いましたが、第一ラウンドで話したことを第二ラウンドで同様に話す参加者も多く居られ、対話をまとめるファシリテーターの即興的な力によって、各グループごとに特色のある報告が行われたと感じる面もありました。
合理的配慮
参加にあたって合理的配慮が必要な場合は申込時にお知らせいただき、3月10日以降、申し出た参加者に詳細を聞き取って、できるかぎりの対応を行いました。
① 要約筆記の希望
第一部ではUDトークのスクリーン投影を実施。第二部のワークショップはスタッフが隣に着席し、グループ内の発言についてパソコンでの要約筆記を行いました。要約筆記については休憩時間中に見やすいフォントサイズを聞き取って調整しました。UDトークについては初めて体験したとのことで、希望者が所属する施設でも導入したいとのことでした。
② 会場内のキッズスペースの利用希望
床に敷くシート、ペン、画用紙、絵本などで会場内に簡易なキッズスペースを準備し、参加者にはキッズスペース近くに着席してもらい、イベント開催中は同じ部屋で過ごしていただきました。
開催時間中の対応は、手の空いている方(グラフィック・レコーディングの石本氏や県立美術館スタッフなど)がそれぞれの親切心で務めてくださる場面が多く見られました。
“滋賀県にある美術館”から自分ごとの美術館へ
第二段階を経て「自分のやってみたいこと」がより明確になった参加者もいらっしゃれば、「そもそも美術館とはどういうところか」について掘り下げる参加者もおられ、各班活発にディスカッションが行われました。グループ発表では、ファシリテーターが代表してグループ内の意見を発表し、ディレクターの保坂および杉浦幸子教授から発表ごとにコメントをしました。杉浦教授のコメントでは「やってみませんか」と、参加者の行動を促す言葉も見られ、ワークショップの“第四段階”を予期させる一幕もありました。
アンケートでは「次回もあれば是非参加したい」という回答が複数ありました。県民が、滋賀県立美術館のこれからについて自由に話し合える環境をつくることは、滋賀県立美術館への愛着をお持ちいただけるきっかけにつながるものと考えられます。以降の方向性次第ではありますが、自分ごととして滋賀県立美術館の今後を見守るサポーター、あるいはかかわり手の増加につながっていくと思われます。また一方で「参加しない人のことが気になった」という意見もあり、今後同様のワークショップを開催するにあたっては、リラックスして臨んでいただくためにオブザーバーの存在を明確にすることも検討の必要があります。
グラフィックレコーディング
アンケート
あなたにとって一番の美術館になるために、これから滋賀県立美術館はどのような取組(ソフト面)や機能(ハード面)を充実させれば良いでしょうか。
・沢山の方の意見を知れてよかったです
・初めて来館させていただき、周りの環境(自然)を含めての企画や導線づくりができれば、美術館の新しい価値が生まれるのではないか、と思いました。
・ディスカッションおもしろいですね!
・今日の案が多くの人の幸せにつながればと思いました。
・美術館は楽しみにというより感じる所では!
・どんな美術館になるのか楽しみになるようなお話でした。参加できて良かったです。
・自分の意見を言ったり、人の意見をきくことができてたのしかったです。
・保育士の方や美術教員、医大生など様々な方と美術館ひいては美術について胸の内をきけたのがよい体験となった。是非またこのような機会があれば参加したいと思う。
・つなぎ手は誰?
・自由とせいやく
・自分に愛着→アートで
・こけを集めてアート
・何かを感じないと→しなくていい
・同じものを見ても人それぞれ見え方が違う
・それぞれの好きを見つける
・表現のできる場がある共感できる場があるのがいい
・共創
・とても面白かったです。面識のない人と同じ方向を見て話す機会が今後もあればぜひ参加したいです。
・美術に興味がある方とディスカッションできてとても良かった。またこういう機会があるとうれしい
・色々と夢がふくらむ時間でした。やりたい気持ちに応えていただけそうな期待がふくらみました。
・1年に1回でいいです。24時間開けてください。朝方や夜中に見たいなあ。心象風景は変わっていくと思います
・むずかしかったけどおもしろかったです、いろんな意見があって。
・美術館を近い場所、行きたい場所、心やすらぐ場所にしていきたいです。
・参加者の名簿があれば、自己紹介の時間を削ったり、今日来た人同士のつながりが深まったのでは?グループに入らない周囲にいた人の存在も気になった。
・ワークショップでみんなの意見が聞けたり、自分の思いを話すことができよかったです。
・ディスカッションの時間や来場者の方と交流する時間がもっとほしかった。とにかく滋賀医大と一緒にいろいろなことがしたいです!リビングルームみたいな美術館はもちろんですが「イオン」みたいな美術館になってほしいなと思いました。
・とても楽しかったです。すてきな機会をありがとうございました。
・これから美術館が変わっていく一歩に関われたのであればよかったです。大変面白い場でした。ありがとうございました。
・地域や県民に愛される、頼り頼られる開かれた美術館になって頂ければ滋賀県を変えていける存在になっていかれると期待します。
・乳幼児のワークショップを一緒に考えてみたいです。もし機会があればお声掛けください。
・年令や立場の違う方と話す機会、とても楽しかったです。最後におっしゃってましたが、こういうワークショップがもっとひんぱんにあれば、考える機会=参加になると感じます。もっとカジュアルで気軽なイベントかと思って来たら、最初かしこまっていてびっくりしました。
・他業職の方との会話たのしかったです。
・美術館の在り方についいて深く議論できて良かった。今後の自身の活動の参考になりました。
・日々、工夫をされているんだな~って。
・とても有意義なお話ができました。
・多様な人と1つのテーマで話して刺激になりました。今日はバスが少なく、タクシーで来ました。タクシーの運転手さん曰く、県美利用者は実感として増えているそうです。先日の着物展だと、着物をめした方がバスの利用よりタクシーを利用するケースが多かったようです。今日は1400円と高かった。うまくまとまりませんが、とても楽しかったです。私は臨床心理士で、県美のお役に立てることがあればなりたいと思いました。
アンケートから
ワークショップの開催そのものについては、おおむね好意的な意見が多くありました。対話に関する満足度は高く、話し足りなかったという声や実施時間の短さに対する指摘もありました。満足度については、対話そのもの(意見を言ったり、人の意見を聴くことができてうれしかったという部分)の満足度と、美術館のこれからについてみんなで話しあい、美術館が変わるきっかけの部分に参加できたことの満足度の二点に分けられます。
前者の対話の満足度については、その実施時間の短さについて指摘する声やオブザーバーが気になったという意見もあり、今後同様のイベントを実施するにあたっては検討の余地があります。
後者の「美術館のこれからについてみんなで話す」という部分については、美術館がこの先どう変わっていくのか、イベント実施時点では全く見えない部分でもあるだけに、これからの美術館に対する希望や可能性を見出す回答が多く見られました。それぞれの希望に対して、美術館が単体でYes or Noの回答をすることが必要なのではなく、美術館だけでなく隣接公園、博物館、地域、企業と連携を取ることで実現可能なことは沢山あると感じました。
前述のとおり、「美術館のこれからについてみんなで話す」ことは、滋賀県立美術館への愛着を持っていただくきっかけにつながり、このワークショップに参加された方それぞれが自分ごととして滋賀県立美術館のこれからについて考えるサポーターになっていくという意味では大変意義深いものではありますが、ここで話された内容がどのように美術館のこれからへ活かされていくのかは、参加者にとって見えにくい部分であることも事実です。参加者にとっては、「これからの美術館ってどんなのだろう」「美術館でこんなことがしたい!」というアイデアを発表しあうワークショップとなりましたが、美術館としては「そんなことができるためにどう美術館を整備していくか」がこれからの課題です。整備というのは単に老朽化した施設を改修していくことだけではなく、地域との連携方法の模索や必要な人材の把握、人員の配置について検討することでもあります。
そういった整備の過程は来場者から見えにくい部分でもあるだけに、定期的な情報発信と、こういったワークショップを、開催意図を明確にして実施することは非常に有効であると感じました。